アーユルヴェーダの古典(『チャラカ・サムヒター』など)において、行動や心のあり方による若返り法「アーチャーラ・ラサーヤナ」には、本来は24以上の多くの美徳が挙げられていますが、現代において実践しやすい代表的な「10の指針(行動規範)」として整理されることがよくあります。
内面を整えて生命エネルギー(オージャス)を満たすための、10の具体的な指針は以下の通りです。
真実を語ること(サティヤ)
嘘をつかず、誠実な言葉を使う。嘘をつくことで生じる脳や心のストレス(葛藤)をなくし、精神的な調和を保ちます。
怒りをコントロールし、穏やかであること(アクローダ)
アーユルヴェーダにおいて、怒りは活力(オージャス)を最も激しく消耗させる感情とされます。常に心を穏やかに保つよう努めます。
心身を傷つけないこと(アヒンサー)
他者に対しても、自分自身に対しても、暴力(言葉や思考の暴力も含みます)を振るわないことです。
活動と休息(睡眠)のバランスを保つこと
過度の労働や夜更かしを避け、規則正しい生活を送ることで、細胞の修復と回復を促します。
気候や季節に合わせた行動をすること
自然のサイクル(季節の移り変わりや1日の時間帯)に逆らわず、その時の環境に順応した心地よい暮らしを心がけます。
自分に合った健全な食事をとること
暴飲暴食を避け、自分の体質(ドーシャ)や消化力(アグニ)に適した、生命力に満ちた食事を腹八分目でいただきます。
他者への思いやりを持ち、施し(寄付)をすること(ダーナ)
自分の知識、優しさ、富などを惜しみなく人に分け与えることで、執着を手放し、心に幸福感(ドーパミンやオキシトシンの分泌)をもたらします。
目上の人や自然、大いなる存在を敬うこと
両親、先生、高齢者、そして自然の恵みや目に見えない大いなる力に対して、感謝と敬意を忘れないことです。
心と五感をコントロールすること(自己規律)
お酒や過度な欲望、有害な習慣に溺れることなく、自分の感覚や感情に振り回されない自制心を持ちます。
魂(本質)のレベルで物事を考え、常に清らかであること(シャウチャ)
身体と環境を清潔に保つだけでなく、嫉妬や執着といった心の汚れ(未消化物=アマ)を溜め込まず、内面の純粋さ(サットヴァ)を大切にします。
アーユルヴェーダ(古代)からのメッセージ
「アーチャーラ・ラサーヤナ」の素晴らしいところは、高価なハーブや特別な治療を受けなくても、日々の自分の「おこない」を変えるだけで、薬草を飲んだのと同じ(あるいはそれ以上)の若返り効果があると教えている点です。
どれか一つでも意識して過ごすだけで、心の中に心地よいエネルギーが満ちてくるのを感じられると思います。
アーユルヴェーダの最高峰の古典『チャラカ・サムヒター』(医術の最高峰とされる聖典)の「ラサーヤナ(若返り論)第4章」には、ハーブを飲まなくても同等の若返り効果が得られる行動規範として、具体的に約30項目に及ぶ美徳や習慣がずらりと列挙されています。
これが「24以上」と言われるものの全貌です。専門的な表現も含まれますが、分かりやすく分類しています。
『チャラカ・サムヒター』に記されたアーチャーラ・ラサーヤナ(全項目)
1. 言葉と感情のコントロール
真実を語る(サティヤ): 嘘をつかない。
怒らない(アクローダ): 怒りに身を任せない。
穏やかであること(プラシャンタ): 常に心の平穏を保つ。
粗暴な言葉を使わない: 他人を傷つける言葉を慎む。
うぬぼれない: 傲慢にならず、謙虚であること。
2. 日常の行動と生活習慣
アルコールや性生活に溺れない(マディヤ・マイトゥナ・ニヴルッティ): 依存や過度の消耗を避ける。
非暴力(アヒンサー): 生き物を傷つけない。
過労を避ける(アナーヤーサ): 心身を酷使しすぎない。
規則正しい睡眠をとる: 適切な休息(特に夜間の十分な睡眠)。
活動(運動)と静寂のバランスを保つ。
3. 他者や社会への関わり方(利他と敬意)
施し(寄付)をする(ダーナ): 富や知識、優しさを分け与える。
礼拝や儀式を行う: 大いなる存在や自然に感謝を捧げる。
牛、尊師、教師、年長者を敬う: 敬意を払うべき対象を大切にする。
憐れみの心(カルナー)を持つ: 苦しんでいる人に共感し、手を差し伸べる。
常に前向きで、他者を祝福する: 嫉妬せず、他人の幸せを喜ぶ。
4. 内面の清らかさと知性
心身の清浄を保つ(シャウチャ): 体を清潔にし、心からネガティブな感情(アマ・心の毒)を排除する。
目覚めている(ジャガラ): 精神的に明晰で、ボサッとせず意識を高く保つ。
自己コントロール(ジテンドリヤ): 五感(欲求)の奴隷にならない。
知恵と精神の安定( धी・धृति・स्मृति / ディー・ドリティ・スムリティ): 正しい知性を持ち、ブレない心を維持し、過去の経験(教訓)を忘れない。
霊的な知識(哲学)を学ぶ: 魂の本質について探求する。
5. 精神的な器・心のあり方
執着を手放す(アサンキールナ): 物質や結果にこだわりすぎない。
心が寛大であること: 器を広く持ち、他者を受け入れる。
サットヴァ(純粋性)に満ちていること: 心を常にクリアで軽やかな状態(サットヴァな状態)に置く。
なぜこれが「若返り」になるのか?
古典では、これらの条件をすべて満たしている人は「毎日ハーブのラサーヤナ(若返り薬)を飲んでいる人とまったく同じ効果(長寿、記憶力向上、無病息災、美肌など)を得られる」と結論づけています。
現代の医学風に言えば、これらを守ることで「自律神経が完全に整い、慢性的なストレス(コルチゾール)から解放され、細胞の炎症が抑えられる状態」を自分で作り出していることになります。
すべてを完璧にこなすのは聖者の領域ですが、「あ、今の自分は少し傲慢だったな」「言葉が荒くなっていたな」と気づくだけでも、心の毒(アマ)を減らす一歩になります。
宗教に携わっている方ですと当然の内容ですが、ヒンドゥー教と仏教が別物の宗教なのに、同じ様な行動指針があるというのは、これら10,24の行動指針は、古今東西、どの宗教にも限らず、人類共通の普遍の原理原則があるということに他なりません。
古今東西の「普遍のルール」の重なり
アーユルヴェーダ: 真実・非暴力・自制・施し(若返りのため)
仏 教(五戒): 不殺生・不偸盗(盗まない)・不邪淫(溺れない)・不妄語(嘘をつかない)・不飲酒
キリスト教(十戒): 殺すな、盗むな、偽証するな、父母を敬え
儒 教(五常):仁(思いやり)、義(正しさ)、礼(敬意)、智(知恵)、信(誠実)
イスラム教・ユダヤ教は、東洋のものが「自分の心身を整えるためのセルフケア・ガイドライン」だとすれば、砂漠の宗教の戒律は「神が定めた絶対的な国家法律(六法全書)」に近いイメージで、かなり異なります。
表現のフォーマットは、砂漠の宗教と湿地帯の宗教が違うように「若返りの薬」「天国に行くための戒律」「悟りを開くためのステップ」とそれぞれ異なりますが、中身はどれも「これを守ると、あなた自身も周りも一番ハッピーでいられるよ」という人類共通の取扱説明書です。
せっかく、HPをブラッシュアップしてスッキリしたのに、また騒がしくなってきました。毒素(ゴミ)が溜まったらまたデトックス(掃除)したいと思います。